チームレジェンド 心閉ざされし者の物語 第七話「理由を求めて」

第七話

その日の夜。
レオは気が付き、そっとベッドから出るといつものテラスへ。
今日は空も晴れていて星たちがよく見えていた。
ふと見回すとそこにマスターがいた。
マスター「あ、レオか。」
レオ「……。」
マスター「何か、ごめんな。結構シリアスやったろ?」
レオ「……。」
マスター「……私、星、好きなんだよね。レオも好きだろ?」
レオ「……ああ」
マスター「……あいつと見たかったな。この星空の満天の下、告白されるのが夢なんだぁ」
改めて見ると、どこにでもいるごく普通の少女だ。特別な能力を除いて。
そういえば。あの時どうして助けたのだろうか……?
レオ「マスターは、何故俺を助けてくれたんだ……?」
マスター「信じられない話かもしれんけど、この世界は幻想……つまり、私が今まで考え、見てきた『夢』。存在しない世界なんだよね。私はこの世界で、ある夢を叶えに来たのさ。」
レオ「……?」
マスター「この世界を護ること。私はこの世界を『夢』として誕生させた。私は『神』と言ってもいい存在。けど、現実はごく普通のフォースも持たない人間さ。でも、守りたいんだ……。」
すると、マスターはレオの方を向いた。
マスター「幻想界(ヴィジョン)と現実(リアル)を」
レオ「……?」
マスター「あの大昔の約束が今、果たさなければならない時が近づいてる。お願い。力を貸してよ。」
レオ「……」
と、その時。
?「レオ……ここにいたの。」
2人の前に黒いマントの女が現れた。
レオ「……『ミューナ』。」
マスター「レオ?知ってるんか…?」
ミューナ「面倒な人に会ってしまったことだな。レオ、帰ってこい」
レオ「……。」
マスター「何よ!急に!レオはこのギルドで働いてるんだ!」
ミューナ「……何?アンタ。……ああ、あの暴行事件の被害者、ね」
マスター「なんで知ってるの!?あたしとレオとユウナしか知らないはず!……まさか、目撃者……!?」
ミューナ「ご明答。」
レオ「……それ以上、傷付けるな」
ミューナ「ハァ?何口答えしてんわけ?私に逆らおうなんて……」
レオ「俺はアンタの奴隷じゃないっ!!!」
レオは珍しく声を荒らげた。
ミューナ「……何熱くなってるのよ。」
レオ「俺はもうアンタの言うことなんて聞かない……いや、聞きたくない」
ミューナ「何ですって!?今まで無事に育ってきたのは」
レオ「お前は母親なんかじゃない。俺にはいたんだ。本物の母親が」
ミューナ「まさか……記憶が一部蘇ってきてしまっているんだわ。……まあ、いいわ。そのうちレオは何もかも失う。そして帰ってくるのよ。せいぜい楽しむといいわ。」
そう言うと一瞬で消えてしまった。
マスター「記憶が戻って……って、アンタ……」
レオ「…すまない。俺にも分からないんだ。でも、アイツは母親ではない。」
マスター「母親、か……」


一方、ミューナの方は……
ミューナ「厄介なことになったわね……」
?「なら、あれの封印を解くといいと。」
ミューナ「…そうね。これ以上邪魔されては困るしね」
そうするとポケットから一つの黒い水晶を取り出した。
ミューナ「さて……ここからじっくりと見させてもらおうかしら。目覚めなさい!もう一人のレオ!!」
そういうと水晶は粉ごなに砕け散った……。


7話 完