チームレジェンド 心閉ざされし者の物語 第十話「レオとラウル」

第十話

ラウルside

あのギルドに来てアイツは少しずつだが、変わり始めていた。
向こうにいたときより表情がソフトになってきている。皆と接し、少し心を開いてきたのだろう。
本来なら少しでも心を開こうとするとアイツの首元にある『制御石』が働くのだが……

次の朝。

レオ「うん……。」
ラウル「やっと起きたか」
体の制御をレオに戻す。すると、レオがこう言った。
レオ「レジェンドの皆は本当に優しいよね」
ラウル「……!」
レオ「向こうに居るよりもここの方がすごく暖かくて、優しくて……不思議な気持ち。」
ラウル「……そうか。」
ミューナに心を開かせるなと言われているが、やはり……
ラウル「レオ」
レオ「?」
ラウル「ずいぶんと表情がソフトじゃないか」
レオ「そう……かな。」
ラウル「ここに来てお前は変わりつつある、いや、変わってきている。」
レオ「…ラウルにそんな事言われたの、初めてだね」
ラウル「お、俺はよっぽどの事がないとそんなこと言わないぞ」
レオ「…クスクス。」
俺は驚いた。レオが笑っている。
初めて見たアイツの笑い顔。やはり、ミューナは間違っている。アイツの『計画』はなんとでも阻止せねばならない。
レオ「ラウル」
ラウル「……まだ何かあるのか」
レオ「俺……笑っていいんだよね」
ラウル「……ああ」
レオ「まだ、みんなの前では笑えないと思うけど、頑張ろうと思う」
ラウル「そうか。せいぜい……」
レオ「拒否しないの?」
ラウル「ハ。知らんな。」
レオ「…素直じゃないんだね」
困ったような笑みを浮かべていた。俺は決めた。
絶対にミューナの思い通りにはさせまい、と…………。