チームレジェンド 心閉ざされし者の物語 第八話「光と影」

第八話

レオはいつもと変わらない朝を迎えた……が
レオ「…調子が優れないな…」
体がだるく、重い。昨日の夜に何かと立て続けに起きたせいだろうか。あるいは―――
レオ(きっと昨日、雨に打たれたせいだな)
ゆっくりと体を起こし、部屋を後にした。

ユウナ「あ、レオー」
アリシア「お早うございます」
2人はニコニコしながらレオに駆け寄ってきた。
アリシア「…なんか、体調が良くないですよ?」
レオ「……えっ」
ユウナ「アリシアはね、医者を目指してるんだよ。この子は見ただけで体調を言わなくても分かるんだ」
レオは世の中色んな力を持った人が居るんだなと思った。
アリシア「でも、これといった能力なんてフォースぐらいしか…」
ユウナ「アリシアは『水のフォース』を持っているんだ。そういえばメンバーの持ってる力について言ってなかったよね。」
そう言うと言い始めた。
ユウナ「リーダーのクロノは『闇のフォース』、私は『光のフォース』、バルトは『源のフォース』、レウェンは『影のフォース』、リアは『日のフォース』、ハヤテは『風のフォース』、ギルは『木のフォース』、カイは『雷のフォース』、アルセリーは『地のフォース』、アリシアはさっき言ったとおりね。所で、レオはなんのフォースを持っているの?」
レオ「……水晶」
ユウナ「…いま、何て?」
レオ「『水晶のフォース』」
2人「水晶……ですって!?あの、予言にあったあの!?」
レオは頷いた。
ユウナ「これは早く言わなくちゃ!行こう!」
レオの手を取ろうとした、その時。

パシッ

レオはユウナの手を振り払っていた。
レオ「……。」
ユウナ「レオ……?」
アリシア「レオさん、どうしたんですか……?」
レオ「気安く俺に触れるな」
2人「……!?」
レオは冷たい視線を向けてきた。
ユウナ「レオ…どうしちゃったの…?」
レオ(?)「コイツに触れるなと言っている!」
アリシア「まさか……二重人格!?」
レオ(裏)「ふん……それに近いかもな。いいか、アイツは俺であって俺じゃない。俺が本物のレオだ!!」
レオ「……うう……やめろ……っ」
レオ(裏)「チ……まだ本調子ではないか……。」
そう言うとレオはその場で倒れてしまった。

レオ「……うん…」
レオは自室のベッドで寝ていることに気がついた。
ユウナ「大丈夫?」
レオ「…また、出たのか……」
ユウナ「出た?」
レオ「アイツは『ラウル』って言う。ミューナに無理矢理植え付けられたもう一つの人格。」
ユウナ「無理矢理って……」
彼女は気味の悪い言葉を聞いてしまったような気持ちになった。
レオ「…だから、俺と仲良くできるなんて考えない方がいい…。このまま一人ぼっちで居させて欲しい……。」
ユウナ「駄目」
意外な返答に喋りかけた口が止まった。
ユウナ「私、決めたんだ。レオに幸せになって欲しいから何でもするって。私たち『水の民』決心は固いのよ?レオだって、ずっと一人で居るってことが決心だと思うけど、そんなの、可笑しいわ。」
レオ「でも、俺は」
ユウナ「じゃあ、女王様の命令でも?」
レオ「……!?」
ユウナ「あら、知らなかったの?私、水の民で一番偉い女王なのよ?」
実は、ユウナは水の民で一番の権利を持つ女王だったのだ。水の民は女王主権なのだ。だからどんなに固い決心でも変えてしまうほどの力を持つのだ。
レオ「…ユウナもミューナと同じく、俺を縛るのか」
ユウナ「ううん。そんな事しないわよ。少しでも変わってくれればなって。だからあんまり一人でいるのは止めて欲しいの。」
レオ「どうして」
ユウナ「…悲しいから。」
レオ「……。」
彼はこの時から初めて思った。
「一人では生きていけないのだ」と……。


第八話 完