チームレジェンド 心閉ざされし者の物語 第五話「偽りの愛と真実」

第五話

あれから2人は嵐が去ったあと、レオは雷のせいでほぼ放心状態になったマスターを抱えながらギルドへ戻ってきた。
ユウナ「レオ!心配し……その子は?」
レオ「…一緒に雨宿りしていた」
マスター「……。」
マスターは放心状態のため、何も言えなかった。
ユウナ「と、とりあえず、医務室まで運びましょ」


医務室
ユウナ「そうだったの。怖かったよね。」
マスター「うん。本当に怖かったんよ…。」
レオは、あの時の不思議な感じを思い出していた。
レオ(あの時の感じ……確かに俺そのものを感じた……あの子は一体、何者なんだ……?)
ユウナ「レオ!!」
ユウナの声により、我に帰った。
レオ「……そういえば、何故あんなところに……」
後ろの方でガチャリとドアの開く音がした。
?「ここに居たのか!」
銀色のツンツンした頭に鎧のような服を着た男が現れた。すると突然、マスターが震え出した。
ユウナ「貴方……やっぱりまだ私のこと…ん?マスター??」
マスター「…嫌……こないで……」
?「急に居なくなったから心配し……」
マスター「いやぁぁぁぁぁっ!!」
叫び出すマスター。危険を察したのか、レオが男の前に出る。
レオ「何者だ」
ディン「俺の名は『ディン・ドラグレイド』マスターは俺の」
マスター「違うっ!!」
涙ぐみながら言う。
マスター「暴行事件は知ってるよね」
ユウナ「ああ、あの記事のことね」
ユウナはその新聞を持って来て読み上げた。

今から一週間前、とある名門に事件が起きた。
「少女暴行事件 名門に起きた悲劇
ドラゴンを巧みに操れることで有名な名門ドラグレイド家の息子、ディン容疑者は先日未明、警察が『少女がディン容疑者に暴行されている』との通報を受けました。調べによりますと、目撃者の小間使いのAさんによると突然悲鳴のような声が聞こえ、慌てて駆けつけたところ少女が裸のまま自分の服らしきものを持って外へ逃げ出した模様。その少女はいまだ行方知らずとのことで懸命の搜索が続いています……。」

すると、マスターの口からとんでもない事実が明かされた。
マスター「…その少女、あたしなんや」
レオ&ユウナ「……!?」
マスターは怯えきっていた。目には生気さえ宿っていない。
マスター「ただ、『愛してる』の連呼ばっかりで、私を…………あの時の感覚、忘れようと、したのに……それなのに、また蘇らせるように私の目の前に堂々と出てくるなんて……」
ディン「でも!俺は本当に愛し―――」
マスター「やめてよぉ!!」
耳を防ぎ、泣きわめく。
マスター「言ったでしょ。私は遠い、遠い所に好きな人が居るんやって。なのに!あんたは!それさえも塗り替えようとした。無理矢理!」
ディン「……。」
彼は黙っていた。
マスター「……怖いよ。男そのものが。好きな子まで怖くなっちゃうよ……。」
レオ「……。」
ユウナ「…帰って。お願い。」
ディンは何も言わず、くるっと背を向けると部屋を出ていった。
レオ「……大丈夫?」
レオがマスターの肩に触れた。と、同時にマスターの体がビクッとした。
マスター「…私は汚されたんや。好きじゃない、ただ、欲情した人間に……。」
数分の沈黙のあと、レオがぼそっと言った。
レオ「…愛って、一歩間違えたらその人が傷つくんだな……。」
ユウナ「レオ……。」
マスターがポッケの中をゴソゴソし、ひとつのペンダントを出し、開いた。どうやら、写真が入れられるようになっているらしい。
マスター「これ……私の好きな人なんよ」
ニコニコしているマスターの傍らに一人の男の子が一緒に肩を組んで写っている。
真紅とも言えるような真っ赤に染まったショートヘアーに綺麗な
エメラルド色の目。この子こそがマスターの密かに思っている子なのだ。
ユウナ「可愛い男の子ね。名前は?」
マスター「真斗(まこと)……凱亜 真斗(がいあ まこと)って言うんだ。孤児院育ちだったけど、うちに義理の弟として引き取ったんよ」
ユウナ「じゃあ、いつもマコトくんと一緒だったんだ?」
マスター「うん。引き取った5才の頃からずっと一緒。寝る時も、ご飯の時も、お風呂にしても一緒だった。」
ユウナ「じゃあ、大きくなった、今もしてたってこと?」
マスター「……う、うん」
マスターは赤らめながら頷いた。
ユウナ「いいなぁ〜私も好きな人と水入らずの関係に憧れるなぁ。」
当然のことながらレオもそう思っていた。
レオ(…いいな。そういう関係って。……でも、それはただ、ずっと居て欲しいだけだって、言われてた。愛とか、関係ないって……。)
レオはユウナに質問した。
レオ「ユウナ。好きな人と一緒にいれるって……人として幸せなの?」
ユウナ「ええっとぉ……」
マスター「うん、幸せやよ。」
マスターは優しく語りかけた。
マスター「ずっと、恋って私には縁の無いもんやと思ってた。けどな、マコトと言う恋人が出来てから、考え方が変わった。こんな私にも、出来るんやなって……。」
レオ「……俺…。」
マスター「ん?」
レオ「…俺にも……幸せはやってくるのかな……。」
ユウナ「……。」
レオ「…幸せっていうのを知らない。ずっと無縁だと言い聞かされてきた。ただ、無縁だって…………無縁、じゃないよね。俺も、欲しい。人としての幸せ。人としての喜び。人としての―――」
とその時!!
レオ「うぐっ、ああ……」
ユウナ「レ、レオ!?」
マスター「……。」
レオの首元に張り付いた宝石のような物から拒絶反応らしきものが黒く光っていた。
レオ「……ごめ…さ…い……」
ユウナ「?」
レオ「…言うことに…背く…事…け、けど・・・・・・!間違ってる!!」
すると、マスターがゆっくりとレオに近づく。そして、手をかざした。
マスター「うん。間違ってる。」
ユウナ「マスター……?」
マスター「心を閉ざすなんて、間違ってる。どんな理由にしても、そんな事しちゃいけないよ。人間は喜び、悲しみ、怒り、泣き……感情を持っている生き物なんだ。それは生き物を殺すことと同じじゃないか…………。」
そう言うとかざした手から光を放った。
レオ「うう……き、君は……『インフィニティ』……?」
ユウナ「えっ!?あ、あの、神様だけがもっていると言われている、あの!?」
レオ「そうか……君は……『俺』なのか……。いや、君から見て、俺は『もう一人の自分』…。だから、俺と同じ波動を…持って…いたのか……。」
マスター「……やっと、会えた。もう一人の…あたし」


五話終了。次回をお楽しみに

チームレジェンド 心閉ざされし者の物語 第四話「嵐の中の出会い」

第四話

ある日のこと。
待ちに待ったレオの初仕事がやって来た。
クロノ「おう、レオ!お待ちかねの初仕事だぜ!」
レオ「…仕事?」
レオは一枚の紙を渡された。そこには今回の内容が記されていた。

レジェンドの皆さんへ
またあの季節になりました。そう!『ドラゴン』の季節なのです!近くにある『始まりの森』にて『ベビードラゴン』を10体討伐してください!お礼は報告の際にお渡しします。

レオ「…そこって、雑魚しかいないはずだが」
クロノ「ちょっと離れた所に『竜の巣窟』があるんだ。この時期になると大量発生するらしいんだ。あと、悪りぃんだけどさ、1人で行ってきてくれるか?みんな手が離せなくてさ。結構の人数がいるのにな。ハハ。」
レオ「…分かった。」
こうしてレオは1人で『始まりの森』へと向かった。


『始まりの森』は主に動物系や植物系モンスターが多いが、それほど強くないので初心者が修行するのにもってこいの場所だ。ごく偶にクロノとバルトが剣の手合わせをしているとか。
さっそく、一匹みつけた。ベビーにしてはそれなりにデカイが。
レオ「……。」
レオは両剣を構えると、一気に走り出した。
「グア!?」
そっちも気づき、高温の炎を吐いた。しかし、レオにはそんなものは当たらない。
レオ「はぁっ!!」
レオは両剣で一閃。見事に急所に当たり、ベビードラゴンはその場でぐったりと横たわった。
レオ「……!!」
仲間のピンチを察したのか、ほかのベビードラゴンたちが集まってきた。
その数、九匹。
レオ「…手間が省けて助かる」
レオは両剣の柄の部分を両手で持つと左右対称にクイッと回した。すると、両剣は見事に2本の剣に別れた。
彼は『両剣士』でもあり、『双剣士』でもあるのだ。しかし実際、一部を除くすべての武器を使いこなす。まさにオールマイティなのだ。
レオ「……っ!!」
レオは一瞬消えたかと思いきや、一匹の背後に周り、強力な斬撃を食らわせた。正確にはあまりにも早すぎて見えなかっただけである。
「グガアアッ!?」
他の仲間も驚いているようだ。
レオ「まとめて散れ!!」
剣身が風をまとっていく。
レオ「神風!双破斬っ!!」
その場で一回転するような形で剣を振った。すると、まとっていた風が刃の形になってドラゴンたちに襲いかかる!!
「グガオオオオッ!!」
強力な風と斬撃に吹き飛ばされ、木に衝突し、その場で動かなくなった。
レオ「…………これで、依頼は達成した、か。」
一息ついたその時、空から雨がポツリと降ってきた。
レオ「この雲行き……雨宿りしたほうがいいか」
レオはたまたま近くにあった小屋へ入っていった。

小屋のドアを開け、足を踏み入れた、その時。
レオ(誰か……居る)
すぐに誰かいる気配がした。場に緊張が走った。
レオ「…誰かいるのか?俺は敵じゃない。いるなら返事をしてくれ。」
しばらくすると、
?「本当に……敵じゃないんやな」
奥から一人の少女が現れた。
?「本当に、本当に、違うんやな?信じていいんやな?」
レオ「……ああ」
?「なら、よかったぁ〜!!」
どうやら、警戒心を解いてくれたようだ。
マスター「ウチは『マスター』っていうよ。こう見えても、15なんやぞ!」
レオ「…そこまで聞いてない」
マスター「あるぇー?そうだったかいな」
レオ「…変な喋り方だな」
マスター「これがウチのランゲージスタイルってやつ?」
レオ「……ハァ」
何なんだコイツ、と思ったその時!!
マスター「きゃぁ!?」
近くに雷が落ちたようだ。マスターは思わずレオに抱きついた。
マスター「あ、ごめーん。うう…今のは怖かったなぁ……。」
レオはこの時思った。今は頼れる人が自分しか居ないと。そしてなぜだか分からなかったが、守ってあげなければ、と。
レオ「…怖いならそのままでいい」
マスター「え?でも、動きづらいやろうし……。」
レオ「…俺は大丈夫」
マスター「う、うん。じゃあ、そうする。」
マスターはひしとレオの腕にしがみついた。それにしてもさっきから感じている妙な感覚…。
レオ(何でだろう……さっきから、マスターから俺と同じ波動を感じる……)


4話終了。次回もお楽しみに!

チームレジェンド 心閉ざされし者の物語 第三話「クリスタルの伝説と恋」

第三話

……この世界には「火」「水」「雷」「地」「風」「天」「無」「光」「闇」「源」「影」の属性が存在する。それぞれ火と水、雷と地、風と天、光と闇、源と影…それぞれが対立し、無は中立の存在。

世界がまだ暗黒の宇宙だった頃、そこに創造主が現れ、『アースディア』と『アクアディア』を作り、4つのクリスタルが生み出された。
『赤のクリスタル』は心の象徴。
『青のクリスタル』は意志の象徴。
『黄のクリスタル』は知識の象徴。
『緑のクリスタル』は能力の象徴。
4つのクリスタルが生まれたことによって、古代の人々は喜怒哀楽の感情が生まれ、物事に対しての意欲や決意が生まれ、あらゆる知識で世界を切り開き、人々が持ち、その力を振るう固有の力……『フォース』が産まれた。
だがしかし。それを黙ってみているわけには行かないと行動したものがあった。暗黒の王である。
暗黒の王は4つのクリスタルに対し、呪いを掛けた。
人々は心を無くし、動けなくなり、知識も忘れ、フォースの力も薄れていった。
しかし、それに立ち向かう4人の勇者たちがいた。

この世界の正義を信じる者。
自由を愛する者。
勇気奮い立たせる者。
世界の救いを祈る者。

その者たちにそれぞれ「闇」「光」「源」「影」この世界を司る4つの力をさずけた。そして激闘の末、暗黒の王を封印することに成功した。
そして、彼らにこう伝えた。
「この世界を救いし4人の勇者よ、また、暗黒神の復活の時が再び来たときは『水晶の力』を持ちし者と共に私の元へ……何世代にもの子供達に語り継ぐのです。例え、復活していなくとも…………」

そして、4人の勇者はいつまでも語り継がれるのであった………………



ユウナ「って言うこと。」
レオは頭が混乱していた。
レオ「…つまり、その『クリスタル』があるから皆は人間らしいのか……俺は…不完全なのか……。」
全員「……。」
かなり重い空気になってしまったようだ。
ユウナ「あ、いっけなーい。もうお昼の時間ね。今日は新しいメンバーも加わったし、歓迎会でも開こうか?」
リア「ユウ姉、ナイスアイディア!」
ユウナ「よーし、張り切っちゃうわよ♪」
こうして半ば強制的になってしまったが、歓迎会が行われたのであった……。

その日の夜。みんなが寝静まった頃、レオはギルドへ抜け出し、とある場所へ来ていた。そこは広い庭みたいになっていた。
レオにとって、お気に入りの場所。密かに行くための魔法を独自に覚えていたのだ。
レオ「……♪」
レオは小さい頃から自然豊かなこの庭が好きだった。そこで時間を忘れて座っているのが唯一の癒しだった。ここに来ると嫌なこともすっかり忘れてしまうのだ。
ユウナ「また一人で、もう。」
レオ「…ユ、ユウナ!?」
ユウナ「あのくらいの魔術、簡単よ。」
隣に座ってきた。思わず目を逸らす。
ユウナ「ここって良いところね!リラックスにはもってこい、ね。」
レオ「……。」
ユウナは急にこんな質問してきた。
ユウナ「貴方って、彼女とか、いる?」
レオ「……いない」
ユウナ「そっか……」
レオ「どうして」
ユウナ「聞いてみただけ」
レオ「……そうか」
レオは何だか悲しい気持ちになった。
ユウナ「レオって、どんな女性が好み?」
レオ「そうだな……明るくて…優しくて…こんな俺でも受け入れてくれる女性、かな……」
ユウナ「……私じゃ、駄目?」
ぼそっと呟いた。
レオ「…何か、言ったか?」
ユウナ「ううん。何でもない。」
ユウナはニコッと笑ってみせたが、心の中では、
ユウナ(聞いて、いなかったんだ……。)
と、落ち込んでいた。でも、そこで諦める彼女ではない。
ユウナ(そんなことぐらいで落ち込んじゃ駄目よ私!ちゃんと気づかせるのよ。って、なんでそう思っちゃったんだろ。)
レオはこんな質問してみた。
レオ「…ユウナ……俺、ずっと悩んでいることがあって……」
ユウナ「悩み事?」
レオ「……恋って何?」
ユウナ「……へっ!?」
驚いてしまった。まさか、恋を知らないとは思っていなかったから。
レオ「…真面目に聞いている」
ユウナ「う、うーんと……」
このときから確信していた。
ユウナ(レオは恋を知らない……じゃあ、私好みの彼氏に……げふんげふん。もう、私ったらさっきから可笑しい……)
レオ「…ユウナ?」
ユウナ「ん、ああ!え、えっとね、恋っていうのは…」
レオ「……うん」
ユウナ「その人といるとドキドキしたり、逆に居なかったりすると寂しくなったり、あれ、なんか変だな?それは恋しなくてもするか?」
レオ「……。」
ユウナ「あ、そうだ。恋はその人に会いたい、とか好きだ、とかこの人と2人でもっとずっと一緒にいたいとか、親友以上の関係になりたいなとかかな。」
レオ「……」
レオには思い当たることが一つあった。
レオ(俺、ユウナと一緒に居たがってるのか……?ユウナと一緒に居る時は本当に嬉しい。せめてもっとこんな時間があったらいいなとか思ってる…でも、やっぱり少ししか一緒になれないし、叶わない、よな…。でも、やっぱり、一緒にいたい……!)
ユウナ「レオ?」
レオ「…ん?」
ユウナ「呼んでみただけ。」
少しの時間、静寂が続いた。
ユウナ「そろそろ、行くね。」
レオ「え…?ああ……。」
レオは凄く寂しそうな顔をした。
レオ(そうか……。もう、行っちゃうのか……。あと、少しだけ居たかったな……。)
さすがにユウナもその気持ちに気づいた。
ユウナ「今日から、あの部屋は使えなくなるからね。それで、部屋は2人で一つを共有する形だから、今日から私が使ってる部屋で寝るんだよ?」
レオ「え……ええっ!?」
レオは嬉しいような、驚いたような声を上げた。
ユウナ「行こ?案内するからさ。」
レオ「……。」
レオはユウナに手を引かれる形で戻った。


3話終了。何なんだコレ。次回もお楽しみに!
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チームレジェンド 心閉ざされし者の物語 第二話「決意」

第二話

次の朝。レオはチームレジェンドの一員となっていた。
ギルド長の部屋にいきなり来るなり、レジェンドに所属する、と言って驚かせた。ともかくレオは所属許可がおり、今日からレジェンドの皆と行動することになった。

レジェンドの部屋

ユウナ「…と、言うわけで、レオが新しい仲間よ!」
ユウナはさぞかし嬉しそうな顔で皆に紹介した。
藍色髪の男「へぇ、こいつが……」
黄色髪の男「また一人増えて賑やかになってきたね♪」
レオ「…あんた達は?」
クロノ「おおっと、そうだったな。俺は『クロノ・ラーグライド』。宜しくな!」
バルト「俺は『バルト・グラウディン』って言うんだ。宜しく♪」
藍色髪の男は「クロノ」、黄色髪の男は「バルト」と言うらしい。
クロノ「俺ら三人は三つ子なんだぜ」
レオ「……!?」
とは聞かせられたが、何か違和感がある。三人とも違う部分があるのだ。本来ならそっくりの筈だが、目の色がバラバラだったりしていてとても三つ子には見えない。
レオ「…本当、なのか?」
クロノ「まー、大人の事情ってやつだ(?)」
レオはなんとも言えない顔をした。
ツインテの女の子「ハイハーイ!私、『リア・アリーバ』!よろしくぅ!」
オレンジ髪の男の子「ボク、『ハヤテ・ソウヤ』って言います。」
レオ「…子供までいるのか」
ユウナ「まあ、ここは本当に自由なチームだし……細かいことはさほど気にしてはないよ」
リア「年齢はどうであれ、実力さえあれば問題なし!ってとこ?」
ハヤテ「…随分大雑把に……。」
黒髪の女剣士「私は『カイティア・ノエル・ブロウダー』と言う。皆からは『カイ』と呼ばれている。よろしく頼む」
緑長髪の男「俺は『ギルティア・シュツルド。』気軽に『ギル』って呼んでくれよ。」
レオ「…女剣士か……。」
カイ「ここらでは滅多に女剣士って者は見ないからな。そういうのでは結構珍しいと思うさ。」
ギル「俺ら2人は北国からやってきたもんでさ。あそこは本当田舎だからなぁ」
銀髪の女「私は『アルセリー・ストルム』と申します。」
クロノ「『アークライト・ストルム』って奴は知ってるか?」
レオは頷いた。
クロノ「そいつの妹なんだ。こっちに来たときは奴がまたなんか企んでるかと思ったぜ。」
ユウナ「クロノとアークライトって天敵同士だもんね」
リア「そう、蛇と猫ってやつ?」
レオ「…龍と虎だろ」
リア「あ、そうだったね!」
レオ以外の皆は爆笑した。
クロノ「じゃ、今度はレオの番だ。」
レオ「え……?」
バルト「自己紹介だよ、ほら!」
レオ「…やったことないから分からない…。」
ユウナ「簡単だよ。フルネームとその他言いたいこと、後は…このチームへの志望動機も聞いちゃおうかな。」
クロノ「俺が言いたいこと全て言いやがった」
バルト「そんなに機嫌悪くしなくても…」
レオは少し考えると、緊張しながら言った。
レオ「…お、俺は『レオ・ヴィジター』って言う。し、出身は、ええと、ここからすぐ近い……『生命の泉』がある『ソラミール』の町から……あ、あと志願したり、理由は……このチームなら俺の探している物が、見つかりそうだから……」
ユウナ「はい、良く出来ました!」
皆は拍手をしてくれた。
ユウナ「『ソラミール』かぁ……じゃあ、貴方は『紫クリスタル』にいつも見守られているのね」
レオ「『クリスタル』……?」
ユウナ「あれ、知らないの?じゃあ、教えてあげる。」
そう言うと本棚から一冊の本を取り出した。


ここで2話は終了になります。次回をお楽しみに!
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チームレジェンド 心閉ざされし者の物語 第一話「その男、不安定につき」

第一話

―――それはとある世界のお話。
幻想世界「ユニバースヴィジョン」に母なる太陽と惑星「アースディア」「アクアディア」が存在していた。そしてそこに住む「大地の民」「水の民」は暗黒神「カオス」によって破滅の道を歩んでいたが、そこへ現れた勇者たちによって防ぐことができ、再び封印することに成功する。
それから7年後。
平和だった世界に新たな魔の手が忍び寄る。それは誰も知るよしもなかった。
そう、一人の男が現れるまでは・・・・・・。


アクアディアのギルド

???「そうか、君が新しいギルド入りたいって人か」
???「……。」
ギルド長の部屋で話をしているようである。
ギルド長「確か、『レオ・ヴィジター』君だったな。君はどこのチームに所属希望なんだね?」
レオ「……。」
レオは相変わらず無言を突き通している。
ギルド長「うーむ…。困ったもんだ。もしかして、悩んでいるのかね?」
レオ「…………。」
表情一つ変わらぬ顔で突っ立っているので空気がずっしり重くなる。
ギルド長「ま、まあ、それもそうだろう。1日猶予を与えるから今日はギルドに泊まっていくといい。君の部屋は……」
モニターらしき物をじーっと見つめると、
ギルド長「チームレジェンドの隣の空室のチーム部屋に行くといい。これが鍵だ。」
そう言われるとレオは鍵を受け取り、部屋を後にした。

彼の名は「レオ・ヴィジター」。無愛想で無口。しかし剣の腕前はピカイチで極めて少ないとされる「魔法両剣士」という職業だ。
「両剣」というのは別名「ダブルセイバー」や「両刃剣」と呼ばれるもので、剣と剣が合体しているような武器だ。しかし、扱うには相応の技術が必要なのであまり普及していない。
彼は一泊する部屋に向かっていた。と、その時。
???「ふんふんふふ〜ん♪」
とても楽しそうに鼻歌を歌いながら一人の女性が廊下を曲がってきた。
???「…あれっ、君は……?」
レオ「…。」
???「もしかして今日来るって言ってたレオって人かな?」
レオは頷いた。
ユウナ「私は『ユウナ・エルヴィン』。レジェンドのサブリーダーよ。」
レオ「…。」
ユウナ「…あんまり他人とお話したことないの?」
レオ「…。」
少し間を置いてから、こう言った。
レオ「うるさい。余計なお世話だ。」
ユウナ「でも、馴染めないと困るし…。」
レオ「もうお前と話すことなんか、ない。」
そう言ってすたすたと行ってしまった。その後ろ姿を見て彼女は、
ユウナ(何か、放っておけないな……。)
と思いつつ、その場を後にした。

夕ご飯時。レオはなるだけ皆と離れるように距離に座っていた。すると、
ユウナ「隣、座るね。」
レオは彼女をみて、ああ、またこの女か、と心の中で愚痴を言った。でも、そんなこと言えないので食べ続けた。
ユウナ「ねぇ、突然だけどさ、お友達って居ないの?」
レオは凄く不機嫌そうな顔をした。
ユウナ「寂しくないの?お友達と居るとすごく楽しいよ?」
レオ「……友達なんか要らない。」
ユウナ「……。」
彼女は凄く困った顔をしている。それから間を置いたあと、
ユウナ「何か、凄く悲しい人だな、レオって」
レオ「……え?」
悲しそうな顔をしながら彼女は食堂から去っていった。
レオ「…………。」
彼は思った。俺のために悲しそうな顔になるのか、と。彼は知らないのだ。誰かに心配されることを。

その夜。みんなが寝静まった頃。レオはテラスに居た。綺麗な満月の光がレオを照らす。
レオ「……。」
レオには、ずっと悩み続けていたことがあった。
誰もが持つ「心」という存在。持っていて当たり前の物。
喜んだり笑ったり。人のために泣いたり、怒ったり。レオにはそれが分からない。心を閉ざし続けた彼は心そのものがない。
知りたい。心を持ってみたい。心が欲しい。だが、あの人は心などもている自体可笑しい。所詮ただのお飾りだ、だから人間はすぐ感情的になるのだ、と…。
もはや、かなわない夢だと信じてきた。でも、捨てきれない。しかし、心を持とうとすると制御のための首元にある張り付いている石が彼を苦しめる。
レオ「うっ……。」
なんとか苦しみを堪え、考えたこと全て振り払おうとした。
ユウナ「どうしたの?眠れないの?」
後ろから声がした。
レオ「…!」
ユウナ「ごめん。驚かせちゃったな。」
そう言うと月を見上げた。
ユウナ「綺麗だなー、満月って・・・。」
レオ「……。」
ユウナ「ねぇ、レオ。いっつも一人なの?」
レオ「…ああ」
ユウナ「寂しくない?」
レオ「…ああ」
ユウナ「嘘」
レオ「……!」
レオは嘘をついたことを見抜かれて動揺した。
ユウナ「羨ましかったんでしょ?友達がいる人のことを。」
レオ「……。」
レオは慌てて首を降った。しかも、悲しそうな顔をしながら。
ユウナ「凄く悲しそうな顔をしてるよ」
レオ「…違う。本当に、悲しく、なん、か……」
泣きそうになり堪えたが、声が震えていた。
レオ「…もう、構わないで……。」
ユウナ「どうして?」
レオ「…そっちこそ、なぜ、俺に構うんだ……」
ユウナ「心配だから、だよ」
レオ「…心配?」
ユウナ「私、貴方のこと、凄く気になるし、何だか助けを求めている気がしてならないんだ」
レオ「……!!」
レオは堪えきれず涙を流していた。
ユウナ「私、決めた。」
レオ「……!?」
ユウナはひしとレオに抱きついた。
ユウナ「私、レオが幸せになれるように頑張るよ、だから……友達に…なろう?」
レオ「ユウ、ナ……。」
レオは産まれて初めて人の暖かさに触れた。
レオ(何て暖かいんだろう……これが、温もり?)
不思議なことに、あの石の制御反応が出ていなかった。なぜかは分からなかったが。
あまりにもの心地よさに思わずぎゅっと抱きしめていた。
ユウナ「ふふっ、やっぱり寂しかったんじゃない。」
レオ「あ……お、俺は……」
ユウナ「今日はもう遅いし、寝るね。おやすみなさい♪」
レオ「……。」
ユウナはテラスを出ていった。しかし、数分の間動けなかった。
レオ「…なんでドキドキしたんだろうか……どうして……?」
彼はこのときから同時に恋をしていたのであった・・・・・・。
                            つづく


後記
なんか、1話からとんでもないことになっているような……気のせいだね。多分。てなことで、次回をお楽しみに!

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